2016年8月20日土曜日

核先制攻撃容認論

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   15日付けのワシントン・ポスト紙が報じたところでは、オバマ大統領の検討している核兵器先制不使用宣言に対し、安倍首相が「北朝鮮のような国々への抑止力が弱まる」と、米太平洋軍司令官に反対の意思を表明した。

 安倍首相の論理は、「そんなきれいごとでは相手に弱そうだと舐められる」というように肩をイカラセル中学生の不良グループの論理だと私は思う。

 一般的な自衛権のことを考えると、日本国内で日本国民の危険が現実のものとなった場合は、警察、海上保安庁、そして現状の自衛隊の自衛力で対処すべきだろう。
 だが現実は、周辺国との国境線をめぐる意見の対立はあるが、それ以上の危険が何処に生じているだろうか。
 冷静に考えて、国境線をめぐる対立は外交の力で粘り強く対応するしかない。
 
 次いで自衛権と核兵器の関係でいえば、先進各国や国連でも、地球を壊しかねない兵器、非人道的兵器は自衛権といえども容認できないというのが世界の趨勢だろう。
 毒ガス兵器の禁止などはそのひとつであり、その論の延長で核兵器の全面的禁止をどう展望するかというのがオバマ氏をはじめとする各国首脳の課題となっている。
 「悪い奴を懲らしめるための戦力ならすべてが許容される」というなら、毒ガス兵器禁止協定も不当なものということになる。

 そもそも防衛白書さえ、北朝鮮の核開発は「米国の脅威に対抗する独自の核抑止力が必要」と考えているからだと、主には米朝間の不信の連鎖だと認め、核抑止力論では際限なく軍拡するしかないことを認めている。
 重ねて言うが、だから冷静な議論が大切だ。
 核不使用共同声明は国連加盟国の8割、155か国が賛同しているのだ。

 余談ながら、先日来尖閣諸島沖に中国漁船が大挙押しかけ中国公船も混じっているとNHKが大々的に報じていたが、その場所は日中漁業協定に基づく暫定措置水域で、禁漁期明けに中国漁船が押し寄せ、それを取り締まる中国公船が来ていることは全く持って不思議なことではない。
 この水域で中国漁船が漁をすることも中国公船が来ることも日本は認めて協定しているのである。
 それを、まるで中国船団が領土を侵略しに来ているかのように報じることは怖ろしい思想統制ではないか。

 18日付け朝日新聞にピーコさんのインタビュー記事があったが、そのくだりに・・・
 永六輔さんのNHKの追悼番組に出て、「永さんは戦争が嫌だと思っている。戦争はしちゃいけないと。世の中がそっちの方向に向かっているので、それを言いたいんでしょうね」と言ったら、そこがばっさり抜かれていた・・・と書かれていた。

 現実にこの国がおかしくなっているのは、オバマ大統領の核兵器先制不使用宣言ではなく、安倍首相の憲法改悪の蠢動と、その提灯持ちをして国民を煽る「国営放送」だと私は考える。

2 件のコメント:

  1.  国連核軍縮作業部会は日本時間20日未明「核兵器の法的禁止を協議する会議を2017年に開くよう国連総会に勧告するすることを採択した。
     68か国が賛成、22か国が反対、日本など13か国が棄権した。

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  2.  長崎市長「棄権は非常に残念」と抗議。
     国民のあまりの反発に動揺したか、安倍首相は「先制不使用宣言反対は言っていない」と毎日新聞に。それなら何故棄権した。

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