2016年4月23日土曜日

複雑な思いの氷金時

 既報のとおり、先日OB会で奈良に遠足に行ったので、少し関連する記事の連載みたいになっている。

氷金時
   二月堂の舞台で多くの人から「あれはいったい何?」と質問を受けた。
 大仏殿の甍の向こうに理解不能のモノが見えるという。
 私などには有名な、そうでない方には理解不能なモノ。それこそ悪名高き?「氷金時」、築55年の人工アルプスで、その中をロープウェイが潜っていた高度成長期日本精神の残躯のようなものである。(少し記憶があいまい!)
 金儲けのためなら資本はもちろん行政までもが何でもOKに舵をきった1961年(昭和36年)、奈良の空に浮かび上がった人工アルプス別名「氷金時」はドリームランドのシンボルとして建てられた。

 今日こそ、USJだディズニーシーだと騒いでいるが、このドリームランドこそが初代ディズニーランドで、鉄道馬車、モノレール、ジャングル大海賊遊覧船、潜水艦そしてジェットコースターは全国から観光客を呼んでいた。(少し記憶があいまい!)
 恥ずかしながら、堺から遊びに来た少年はその濃厚なUSAの匂いに感動し、その記憶が脳裏に残っているから、この非文化的な残骸に今でも懐かしい親近感が拭えない。ああ。
 奈良に転居してからは、ここのレジャープールに子供たちと遊びにも来た。

 もともと本家のディズニーランドとはフランチャイズ契約はなかったようで、中国や北朝鮮の「そっくりさんパーク」を笑えないレベルに近かったようだ。(開園当初は本家の指導や援助もあったというが、本家にはそのレベルが不満だったよう)
 経営母体の不振や、全国的な遊園地の廃止の波(少子化と地価暴騰?)、一方、東京ディズニーランドやUSJの開園で打撃を受け、10年前の2006年に閉園になった。要するに今ある姿は廃墟である。

 元へ戻って古都の俗化となると、ドリームランドのほかにも三笠温泉郷、春日奥山周遊道路、平城宮蹟への近鉄車庫建設計画、同地への国道24号線バイパス計画が進められ、一挙に「歴史遺産を守れ」という運動が起り、その伝統がここ数年の若草山モノレール計画を中止に追い込んだともいえる。
 しかし、平城宮蹟のテーマパーク化や奈良公園ど真ん中(登大路交差点)の観光施設建設は今も進んでいる。

 廃墟跡地は、長い間格安の公売でも応札がなかったが、先日、遂に落札されたと報じられている。
 私などは、全国のモデルになるような保育園と老人ホームが一体となった施設を造ればよいと思うが・・・・。
 景観破壊反対の運動が必要でないことを祈りたい。
 皆さん方には、二月堂から見たあの違和感をもって、古都の俗化に異議申請する声を広げてくださることを心から期待している。

5 件のコメント:

  1.  二月堂の舞台から見ると、それは全く醜悪以外の何ものでもないが、記事に書いたとおり、その地で胸踊った昔少年は、同時に懐かしくいとおしいのです。ああ。

    返信削除
  2.  私の町にもこれと似た施設がありました。1960年代だったと思いますが、太平洋を望むところにスカイラインを造り、うりは一周1時間(30分だったかもしれない)もかかる回転レストランでした。私も若い頃にこのレストランに行き時々食事を満喫しました。
     相当以前にこの施設はつぶれて閉店していますが、今は何になっていると思いますか?回転することを止めて「納骨堂」になっています。太平洋の景色が良いので結構流行っているみたいです。

    返信削除
  3. ぼくも30数年前の幼児の時に家族でドリームランドへ行った時の写真が残っています。実は、遊園地のような過去のユートピアの残骸が郷愁をそそるという話は世界中にあります。知人でポーランドの社会主義時代の工業都市のノスタルジーを研究している方もいます。20世紀の見果てぬ夢ですね。他にもそういう郷愁を誘うポイントはいっぱいありますよ、ニュータウンとか日の岬の旧国民宿舎とか。けっこうそういうのを見るのがぼくは好きです。国道沿いの打ち捨てられたレストラン。いいですね。国道42号線沿いには20年前はいっぱいそうした施設の残骸が残ってました。

    返信削除
  4.  バラやん、納骨堂ですか。絶景ポイントでよさそうですね。

    返信削除
  5.  mykazekさん、「過去のユートピアの残骸が郷愁をそそる」という話は広く共通した感慨なのですね。しかし奈良の「氷金時」はいけません。イコモスからも「ええかげんにせい」と叱られています。
     奈良や京都では革新といわれる共産党が一番文化遺産の保存に熱心で、保守といわれる自民党などが一番金儲けイコール文化遺産の破壊に熱心です。

    返信削除