2016年3月13日日曜日

お嫁に出した気分

  古臭い言い方だが、娘をお嫁に出したような気分になっている。
 といって、ほんとうの娘はズーッと昔にさばさばした感じで「私引っ越しします」と言って出ていったから、変なものである。

 「人形には魂が宿っている」というようなことを言う気はさらさらないが、妻の実家から贈ってもらった七段飾りの雛人形と五段飾りの五月人形は、義父母の深く大きな心が籠もっていることは確かだから、いくら子供が大きくなって、その一方場所をとるからといって生ごみと一緒には出せず、写真の新聞記事にある正暦寺の人形供養に出そうと本気で考えていた。

 人形を1年間保管するスペースもそうだが、飾ったときには一部屋がつぶれてしまうから、息子も娘も「飾るところがない」と相続放棄を宣言したのも無理もない。

 農村の旧家なら別だが、正直持て余してきた。
 大阪の人形問屋街松屋町(まっちゃまち)でも、こんな場所をとる飾りは今では全くの少数派で、たくさんの商品の中でもそれはほんの数点だ。当然だと思う。
 もちろん、都市勤労者やそのOBの友人たちも私の問いに「飾る場所がない」との返答。

  というように悩みながら「何処か貰ってくれるところはないか」と探し、地元の議員の後援会ニュースにも書いてもらったりしていたのだが・・・・。
 で、結局、その地元の議員の紹介で『けいはんな記念公園・水景園』が貰ってくれることになった。
 正確には同公園をはじめ京都府のいくらかの有名施設の『指定管理者』になっている会社なので、水景園以外に行くかもしれないが、この頃よく見かけるような多くの雛人形を大きく飾るような中の一部になる予定。「嫁ぎ先が決まれば連絡します」とのこと。

 繰り返すが、私は正暦寺行をほんとうに考えていた。
 なので結果としては一番良い形になったと喜んでいる。
 これで義父母にも顔が向けられる。
 無事お嫁に出してホッとした気分というシチュエーションは実際には知らないが、小津作品の父親はこんな気分だったのだろうと想像している。

3 件のコメント:

  1.  お世話になった議員から、まるで花嫁の父親あてのようなメールをいただいた。

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  2.  端午の節句には「けいはんな記念公園水景園」で五月人形が飾られると連絡があった。よかった、よかった。

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  3.  笠智衆さんの抑揚のない、それでいて父性溢れる名セリフの数々、「そうか、いや、よかった、よかった」「ありがと」とオーバーラップします。
     それにしても、節句の人形、一人息子の後々のためにと残していますが、押し入れと、トランクルームの半分ほどを占めています。果たして使う季は来るのだろうか?

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