2016年1月3日日曜日

メッセージの伝え方

 しんぶん赤旗元日号のトップ記事は、上智大学中野晃一教授と共産党志位委員長の新春対談で、全体では3頁半もあるものだったが、「立憲デモクラシーの会」の中心メンバーで2015年の市民運動の立役者の一人であった中野氏だけに内容の濃いものだった。
 「科学的社会主義と個人の尊厳、個人の尊重」など興味のある話も多かったが、「メッセージの伝え方」という小さくない「中見出し」の部分の対談も新鮮な話題が多かった。中野氏の発言のごく一部を摘んでみると、

  ・・例えば、シールズの皆さんと理念などを議論すると、ではどうやってそれをビジュアル化するのかということを徹夜作業並みの時間をかけて議論する。
 ・・「学者の会」などはおそらく自分たちは正しいメッセージをもっているから、それは伝わるだろうという、ある種のおごりもあるんだと思う。
 ・・もう一つは、伝えたい相手に対する敬意、若者の言葉でいうとリスペクトで、われわれに欠けていた。
 ・・われわれ大学の教員と共産党というのは似ていて、同じようにうっとうしいように思われている(笑い)。常に正しい答えを知っていて説教しているようなところが多分にある。
 ・・メッセージの伝え方について、もっと謙虚にあるべきではないか。・・・・など。

 これは私などがミニコミ紙などを作る時にも大いに参考になる意見だとつくづく思った。
 ともすれば、どこかで読んだ文章をつなぎ合わせたようなお説教口調になっていないか。
 一本調子で政治や社会への不満や怒りの言葉だけになっていないか。
 仲間にしばしば「読んでくださる方へのお手紙のような気になって書こう」と言っても「そんな難しいことを言われるならよう書かん」と反発されてきたが、やっぱり大事なことなのだ。
 仕事で「名ばかり管理職」であったころ、私は「気配り・心配りを大切にしよう」と言ってきたが、同じことで、それはメッセージの手練手管ではなくリスペクトの問題だ。

 そういえば、何時かの記事にも書いたが戦争法案の頃ターミナルで、「これは、あんたらのことなんやで」と若者に説教口調で演説をしていた人がいたが、その口調から「ああ、あの演説は若者の心には届いていないなあ」と私は感じた。そんなこともある。
 正月から再認識させられる内容豊富な対談だった。
 2016年、心して歩みたい。

6 件のコメント:

  1.  実は12月からミニコミ紙新年号のトップ記事の編集ができずに来ている。
     この新春対談を読んで、一層「やっつけ仕事」ができずに悩んでいる。

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  2.  この記事の案内をフェースブックに掲載したら、何人かの方から「いいね!」をいただいた。
     嬉しいことだ。
     「謙虚であるべきだ」との指摘を心に刻んで具体化しなければ・・・。

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  3. あけましておめでとうございます。今年も、楽しくためになる知識と実践のブログ読ませてください。
    さて、以前にも書きましたが私達の「自然観」「ものの考え方」も科学や社会の発展につれて変化しなければならないと思います。私がショックを受けたのは「量子論」の見方です。ほんの漫画入の入門書でしたが監修者は東大教授の佐藤勝彦氏ですからただの評論家ではありません。
    そこにはミクロの世界の奇妙で常識外れの物質の性質を説明されています。我々のマクロの世界も基本的にはミクロの物質の集合体ですから「量子論」を関係ないとは言えません。
    その中の一つに「一元論」と「二元論」があります。近代の人間は相手と自分を分けて観察(二元論)することが正しいと考えていたが量子論では相手も自分もセット(一元論)であると念頭におかなければいけないと言います。なぜならも本来、相手(物質)はその居場所も、どんな方向にどんな速さで動いているのか何も決まっていない。自然の本質は極めていい加減、曖昧なもの。とされています。
    何が言いたいかと言えばこれまで自然の法則で歴史は進むと思っていましたがどうやら間違いのようだ、ということです。ニュートンやアンシュタインの物理法則からの自然観から一歩超えた自然観で物事を見なければならない時代に入ったのではと思っています。
    もっと理詰めで分かりやすい表現で文章出来れば良いのですが・・・この程度の老人のたわごとです。
    今年もよろしくお願いします。

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  4.  スノウさん、あけましておめでとうございます。
     楽しくて難しいコメントをありがとうございます。正直に言いますと、現代科学はニュートンやアインシュタインの理論を書き換えつつあるらしいという認識の程度しかありませんが、このコメントは参考になります。私の好きな昆虫などを見ましてもダーウィンの進化論やドーキンスの利己的遺伝子論でも首を捻るような現実がいっぱいあります。脳ミソをニュートラルにして多くの説を聞き自分で悩んで考えることでしょうか。そしてそれは、哲学や社会科学でも同じように思います。今年もいっぱいユニークなコメントをお願いします。

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  5. 端的に言えば国民意識はアベ政権の矛盾が深まれば(必然的に)革新勢力に来るのではなく自公政権よりもっと右の独裁勢力(例えば維新)行くかも知れないし、自衛隊のクーデターを喜ぶかもしれないという事だと思います。革新勢力がエリート集団で高所からモノを言っていれば「二元論」になり正しい答えは出てこないと思います。そういう意味で元日の「赤旗」の中野教授の話を読みました。

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  6.  「二元論」というものが十分理解できていませんが、戦争法案反対の運動に見られる戦後かつてない自由で自発的な国民運動の発展をしっかり押さえると同時に、大阪W選挙の不本意な結果も冷静に分析すべきでしょう。その一側面については大晦日の記事に書いたところです。そのことについての活発な議論が広がると楽しいように思います。

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