2015年11月28日土曜日

ベラルーシ

  ベラルーシは昔は地図に「白ロシア」と書かれていた。北方地方が黒ロシア、南方地方が赤ロシアと呼ばれたこともある。ここでいうロシアとは現ロシア共和国のロシアではなく「ルーシ人の地」の意味らしい。
 この地は13世紀に「タタールのくびき」と呼ばれる歴史を持っているが、「白ロシア」の白は白虎の白と同じことで、中華文明発祥の陰陽道の『西』を指す。正にタタールの置き土産だろう。

 念のためにいえばベラルーシには原発はない。チェルノブイリ等の原発はウクライナにある。だが大気中に放出された5000万キュリーの放射性物質の70%がベラルーシ―に降りそそぎ、国土の23%がセシウム137で汚染された。

 「チェルノブイリの祈り」の続きになるが、20世紀の初めから現在まで一貫して熱い戦争、冷たい戦争を続けてきたこの地(旧ソ連)の人間のメンタリティーは、日本の戦前の特攻を志願した軍国少年と通ずるところがあるように思われた。
 事故収拾に投入された人々の記憶の中に、戦争真っ最中と同じ?ある種の「高揚感」が述べられていたのだ。
 意外な感じがしたがこれこそリアルな真実なのだろう。
 地球上で終わりが見えない各地の戦争、あるいは頻発する自爆テロの裏にもこの種の高揚感があるに違いない。無視しえない課題である。
 反対にいえば、非人間的な命令で莫大な死者を産むことを厭わない国でなければ原発事故には対応できない。
 そのチェルノブイリもまだまだ道半ばで、応急措置をしたコンクリートその他が劣化しはじめ、大規模な追加工事が求められている。
 特攻命令の出せない国、人道主義の国、民主主義の国と原発は共存できない。そうでなければ原発事故には対応不可能という感を強くした。
 
 それにしても、その桁違いの被災地泥棒の状況にも驚かせられる。
 「汚染」という限度をはるかに超えた食料品が各地に流れ、ありとあらゆる金目のものが今も各地で放射線を放出していることだろう。
 それならフクシマにはそういうことが決してないのだろうか。
 例えば輸入できない北朝鮮の蟹がロシア経由で輸入されていることが公然の秘密のように、フクシマ沖の海産物が他の港を経由して流通していることは絶対にないのだろうか。
 そもそも「汚染水は完全にコントロールされている」などという大嘘がまかり通っているこの国で、私たちもベラルーシの国民とあまり違わない洗脳状態にないだろうか。
 笑わない子供たち、自分はいつごろ死ぬだろうという会話が飛び交う子供たち。そんな子供たちが彼の地にはいっぱいいたし、今も生まれている。
 これまでそういうことに想像が及んでいなかった自分を恥じたい。

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