2015年11月30日月曜日

霜月尽

 
  今年もあっという間にあとひと月となった。
 というように忙しいのも、暇を持て余すことに比べればありがたいことなのだろう。
 先日は特養の家族会の役員会をした。
 餅つきをしたりトナカイになったり、臘月もおかげで仕事が予定されている。
 
 

2015年11月29日日曜日

呉王夫差

  年末の餅つき行事が近づいてきたので、改めて餅つきのルーツについて考えているうちに、ジャポニカ米の故地「江南」をもう一度考えたいと思った。(江は揚子江)
 テーマは日本列島に稲作(弥生文化)を伝えた人々のことである。
 そこで、30年以上前に読んだ陳舜臣著「小説十八史略」を引っ張り出したが、読み返し始めると楽しくて瞬く間に時間が経ってしまった。

 殷の末期、今から3000年ほど前、酒池肉林の話で有名な紂王が周の武王に敗れ、代わった周王朝も後には名ばかりになり実権は各地の諸侯(公)の手に移った。主な国だけでも斉、魯、衛、晋、そして呉などである。春秋時代である。

  呉(後の三国志の呉ではない)は、周王の長子太伯(たいはく)が江南の地、現在の蘇州に赴いて建国したといわれている。
 そしてその南方、紹興に起こったのが越であり、呉王夫差(ふさ)と越王勾践(こうせん)、それぞれの名臣である伍子胥(ごししょ)と范蠡(はんれい)の攻防が『臥薪嘗胆』の中身である。

 呉王夫差が越王勾践に敗れたのが紀元前473年で、越は北上して都を移したから、完敗した呉の王族・貴族たちが逃げられた道は東の海上しかなかった。北や西には大国があった。
 このボートピープルが日本列島に稲作を伝え弥生の指導者になったと推定するという説に私は説得力を感じる。
 これに先立つ呉越の戦乱や春秋時代の戦乱の中でも先行するボートピープルもあっただろうし、同じように戦国時代に後を追ったボートピープルもあったに違いない。
 後の「魏志倭人伝」が記す帯方郡から朝鮮半島の旅程や、さらにその後の百済や新羅からの渡来人ルートに意識が引っ張られ過ぎると見えなくなるが、非常に明らかな事実は、稲の遺伝子は韓半島経由でなく、長江からのダイレクトな足跡を物語っている。
 「魏略」では、『自謂太伯之後』、つまり倭人は自らを呉の末裔だと称していた。

 私の実母が小さい頃上海で暮らしていたこともあり、また、戦前の長崎の暮らしを伝えるテレビの中で、長崎の人は東京には行ったことがなかっても、年末の買い物などは上海に行っていたと話していたことなどを思い起こすと、この長江下流からのダイレクトルートに親しみを感じる。
 話は楽しいが、机の上が関連の本で埋まり始めている。

 邪馬台国以前のことである。考古学的には北部九州が日本列島の先進地域であった頃のことである。

2015年11月28日土曜日

ベラルーシ

  ベラルーシは昔は地図に「白ロシア」と書かれていた。北方地方が黒ロシア、南方地方が赤ロシアと呼ばれたこともある。ここでいうロシアとは現ロシア共和国のロシアではなく「ルーシ人の地」の意味らしい。
 この地は13世紀に「タタールのくびき」と呼ばれる歴史を持っているが、「白ロシア」の白は白虎の白と同じことで、中華文明発祥の陰陽道の『西』を指す。正にタタールの置き土産だろう。

 念のためにいえばベラルーシには原発はない。チェルノブイリ等の原発はウクライナにある。だが大気中に放出された5000万キュリーの放射性物質の70%がベラルーシ―に降りそそぎ、国土の23%がセシウム137で汚染された。

 「チェルノブイリの祈り」の続きになるが、20世紀の初めから現在まで一貫して熱い戦争、冷たい戦争を続けてきたこの地(旧ソ連)の人間のメンタリティーは、日本の戦前の特攻を志願した軍国少年と通ずるところがあるように思われた。
 事故収拾に投入された人々の記憶の中に、戦争真っ最中と同じ?ある種の「高揚感」が述べられていたのだ。
 意外な感じがしたがこれこそリアルな真実なのだろう。
 地球上で終わりが見えない各地の戦争、あるいは頻発する自爆テロの裏にもこの種の高揚感があるに違いない。無視しえない課題である。
 反対にいえば、非人間的な命令で莫大な死者を産むことを厭わない国でなければ原発事故には対応できない。
 そのチェルノブイリもまだまだ道半ばで、応急措置をしたコンクリートその他が劣化しはじめ、大規模な追加工事が求められている。
 特攻命令の出せない国、人道主義の国、民主主義の国と原発は共存できない。そうでなければ原発事故には対応不可能という感を強くした。
 
 それにしても、その桁違いの被災地泥棒の状況にも驚かせられる。
 「汚染」という限度をはるかに超えた食料品が各地に流れ、ありとあらゆる金目のものが今も各地で放射線を放出していることだろう。
 それならフクシマにはそういうことが決してないのだろうか。
 例えば輸入できない北朝鮮の蟹がロシア経由で輸入されていることが公然の秘密のように、フクシマ沖の海産物が他の港を経由して流通していることは絶対にないのだろうか。
 そもそも「汚染水は完全にコントロールされている」などという大嘘がまかり通っているこの国で、私たちもベラルーシの国民とあまり違わない洗脳状態にないだろうか。
 笑わない子供たち、自分はいつごろ死ぬだろうという会話が飛び交う子供たち。そんな子供たちが彼の地にはいっぱいいたし、今も生まれている。
 これまでそういうことに想像が及んでいなかった自分を恥じたい。

2015年11月27日金曜日

未来の物語

  本というものは限りなく広い別の地や時間を超えた人々の経験を教えてくれるから読む度に何らかの感動があるものだが、今回ばかりはある種のショックを受けて感情と頭の整理がついていかない。
 読むきっかけは、ノーベル文学賞受賞者であるものの私は名前も作品も全く知らなかったことと、その上に代表作がチェルノブイリの記録のようだとどこかで読んでいたことで、ノーベル文学賞を「世界」と言ってよいのかどうかということはあるが、世界で一定の評価のある著者を自分の目で確かめたかったからである。
 2015年ノーベル文学賞受賞者スベトラーナ・アレクシェービッチの著作『チェルノブイリの祈り』岩波現代文庫(1040円+税)。
 チェルノブイリのことは知っていたつもりだったが全く何も知っていなかった。
 チェルノブイリの事故は1986年4月26日。29年も前のこと。
 そして1998年12月にこの本は岩波書店から刊行され、2011年3月11日にフクシマで事故が起こった。
 作品は、チェルノブイリ関係者へのインタビュー集だが、派生的にはベラルーシの田舎度合い、旧ソ連から今日にまで続く強権支配、その下での政治の腐敗、旧ソ連共産党の官僚主義、それらを支えている人間個々人の弱さ等々も興味深いが、やはり私は3.11フクシマ事故との驚くほどの共通性に眼を開かされる。
 被害者は語ることを止め胸にしまおうとし、それに乗じるように為政者は嘘をつく。
 証人たちは次々に死んで行き、世界中が過去の出来事だと信じようとする。
 暗澹たる気分になりながら決して嫌なことではなく、この本に出合えてよかったという満足感の湧いてきた本だった。
 それにしても、1998年岩波刊行から2011年フクシマを経て今日まで、こんな大事な記録がどうして大きく取り上げられてこなかったのだろうか。自分の無知を横に置いておいて不思議である。
 書評や解説を書くつもりはない。ただ絶対に言えることがある。この本は日本人必読の書である。
 未読の方は、2015年ノーベル文学賞受賞者スベトラーナ・アレクシェービッチ著『チェルノブイリの祈り』岩波現代文庫(1040円+税)、絶対に読んでほしい。

2015年11月26日木曜日

牽午子

  牽午子(けんごし)あるいは牽牛花(けんぎゅうか)というのが朝顔のことと知ったのは、真の斉明天皇陵と言われる明日香の牽午子塚古墳を勉強したときだった。
 この古墳、大正13年に国の史跡に指定されたときの読み(ふりがな)は牽午子塚古墳(あさがおつかこふん)だった。
 想像するに、発掘調査により平成22年に八角形墳と認められるまでは五角形と思われていたのだろうか。
 なお本には「牽牛花(けんぎゅうか)というのは七夕の頃に咲くので」とあった。
 また狭義の牽午子(けんごし)とは朝顔の種のことで漢方薬の強力な下剤である。
 夏の花という印象が強いが季語は秋。
 で写真だが、昨日現在の我が家の西洋朝顔。地上から伸びてきてグリーンカーテンを作ったうえで2階のベランダでこのように咲いている。「勝手に夏の花と決めつけないで」と主張している。
 そもそもは数年前に植えたのが自生して毎年芽を出してきてこのように成長する。
 あまりに季節感と乖離があるためか、「この花は何ですか」と通る人に聞かれることもある。
 育て主の私にしても、家の中では暖房を入れながら玄関を出るとこの風景に気分が攪乱されている。
 世界中でも日本国内でも大阪でも可笑しな問題が後を絶たない。花言葉には「明日も爽快に」とあるのに。
 

2015年11月24日火曜日

ペコロス親父に笑う

  『ペコロスの母に会いに行く』という漫画の本を書評かなんかで知ったのは3年ほど前だったが、書店で尋ねると売り切れていたので結局読まずにいた。
 さらには森崎東監督によって映画化されたのも知っていたが観ずに来た。
 だから何となくすれ違って縁のない関係だった。
 ということだったのだが先日、いつもと違う書店にその本と併せて新書が並んでいたので新書だけ購入した。岡野雄一著【「ペコロスの母」に学ぶボケて幸せな生き方】小学館新書という。
 ペコロスという小タマネギに似た禿げ頭の丸顔の著者が、介護先の母に会いに行った折々の小ネタを漫画にした原作に触れたエッセイのようなものだった。

 その中にあった文章だが、「ペコロスの母に会いに行く」に返送された読書カードの多くには、開口一番「甘い」と書いてあり、それでも最後に「読んでよかった」と結ばれていたとあった。
 この新書の中に再録されたものしか読まずに言うのも憚られるが、その感覚は想像できる気がする。
 誰もが、介護の初期は家族介護からスタートするだろうが、その中で生起する辛い出来事を笑ってしまえるまでには相当な月日が必要だ。
 また、施設に入居させた後ろめたさのような感情が「母に会いに行く」というタイトルに込められているという話も理解ができた。
 著者は全く介護の素人だったし、だから起こったあれこれの出来事も「そうそう あったあった」と思うことが多い。
 介護の専門書にはない(と思われる)共感が広がる本だった。

 町永俊雄氏との対談の中での遠野地方の民話で有名な「座敷わらし」は認知症の幻視じゃないかという話では、お年寄りが座敷わらしが見えるようになるまで長寿になったことを寿ぎ、だから「座敷わらしが現れる家は栄える」と言われたのではないかという楽しい解釈だった。
 「生産性のない人は社会の役に立たない人」というような風潮が生まれて久しいが、この国は、元々このように豊かな風土であったはずだ。
 
 介護生活のための勉強(ノウハウ)などにはならないかも知れないが、心構えを教えてくれる気がする。
 著者の場合は胃ろうを選択したが私の場合は「胃ろうはしないでください」という文書にサインした。だが、そんな枝葉末節はどうでもよい。
 辛いが楽しいマンガとエッセイだった。
 遠い昔の「看護婦の親父がんばる」という漫画を思い出した。

2015年11月23日月曜日

それをいっちゃ・・・

  大阪W選挙の結果は残念だったが、その分析は後日のこととして・・・。
 大阪府民市民は高い授業料を暫く払うことになるだろう。
 なかでも、口汚く福祉を攻撃する橋下維新の行政の先行きは心配だ。
  そんな中、先日、茨城県の教育委員が会議の席上で、障害児教育の予算が大きいという文脈につなげて「妊娠初期にもっと(障害の有無が)わかるようにできないのか」と発言し、知事もその発言を「問題ない」と発言した(後日、批判が大きくなる中で両者とも発言を撤回したが)。
 その考えは、障害を持った児を厄介者、社会の損失とみなして「わかったならば産むな」といういうもので、公人がこのような発言をするようになった現代の風潮を私は深く悲しむ。

 今年、私の孫は相当重いハンディを背負って生まれてきた。
 湯水のごとき原発予算や軍事費の一方で後退に後退を重ねる福祉予算のことを考えると、一瞬たりともある種の絶望感に襲われなかったかというと嘘になる。胸の奥底から悪魔のささやきが聞こえたことも正直にいえばなかったわけではない。
 しかし、寅さんの台詞ではないが口に出していいことと悪いことがある。
 それが人の道だと私は思う。
 それをタテマエ論議だ、ホンネを言って何が悪いという風潮には、馬鹿にされても私は反対する。

 病院と薬のお世話になって、他人の何倍かの時間をかけてそれでも少しずつ成長する孫はとても可愛い。
 その児を必死に育てる母(私の娘)も可愛い。児の父母の誠実さには頭が下がる。
 そもそも客観的に見てみると、この世には障害者と健常者がいるのではなく、既に障害を負った者とこの先障害を背負う者がいるのではないか。
 世の中を損得で図り、効率だとか無駄だとかの言葉の裏でハンディのある者を排除しようとする社会にはドン・キホーテと笑われても抗って生きていきたい。

2015年11月22日日曜日

さよなら橋下維新

  金色(こんじき)のちひさき鳥のかたちして銀杏(いてふ)ちるなり夕日の岡に 与謝野晶子

 先日来のニュースで各県の「銀杏の黄葉宣言」が報じられているが「今頃なんやて?」と思っている。
 我が街の銀杏は1か月ぐらい前から黄葉し、ギンナンを振りまき、今では裸になっている樹も少なくない。
  「落葉宣言」の間違いでないの???
 クルマで走っていると道路ごとに街路樹の種類が異なっているが、銀杏の黄葉の秋はそこの道路だけ明るく輝いていて私は好きだ。
 そういえば東京の方を案内していた頃、御堂筋の銀杏並木には大変感動されていた。
 ほんとうに落ち着いて街づくりを重ねていけば大阪の未来は暗くない。
  下品な言葉を並べ立てて不毛の対立を煽ってきた橋下維新を止めさせるため、大阪知事には栗原貴子、大阪市長には柳本顕に勝ち抜いてほしいと願っている。
 

2015年11月21日土曜日

季節は巡る

  今年は秋らしい秋の日が多かったせいか、冬の使者も少し急いでやって来たようだ。
 庭に出てみると素晴らしい芳香が漂ってきた。気の早い臘梅(ろうばい)が咲き始めていた。
 ほんの数粒の開花でこの香りだから、この先が楽しみだ。
 写真のとおり、葉はまだ青々としていて落葉もしていない。
  この臘梅も、社会の閉塞状況にいてもたってもおられなくなったのだろう。
 明日は大阪W選挙。
 待っていても春は来ない。
 臘梅に見習いたいものだ。
 なお、臘梅が咲き始めたというのに西洋朝顔は舞台を譲る気配なし。
 このしたたかさにも頭が下がる。

  さて、泥憲和氏のフェースブックに正鵠を射た指摘があったので下記のとおり転載する。
【絶対に、絶対に、橋下を信用してはいけない】
 かつてサラ金が我が世の春を謳歌していたころ、彼らの違法な利息取り立てによってどれほどの悲劇が生まれたことか。
 特に商工ローンの被害はひどいものだった。
 橋下は商工ローンのひとつである「シティズ」の顧問弁護士だった。
 当時私は法律事務所に勤め、「アイフル対策全国会議(通称チームチワワ)」の事務局を手伝っていた。
 橋下のシティズはアイフルの子会社だったので、チームチワワはシティズとも果敢にたたかっていた。
 これから書くのは、その時代のことだ。
 
 シティズもそうだが、商工ローンは連帯保証人を取る。
 金を借りた本人(主債務者)が金を返せなくなると、連帯保証人が返さなくてはならない。
 連帯保証人は、ある日突然、借りぬしの支払いが滞ったという理由で、いきなり「ただちに全額耳をそろえて返せ」と求められる。
 連帯保証人が事業者の場合、やおら工場や自宅が差し押さえられる、銀行預金が押さえられる。
 こうなると信用を失い、事業継続は不可能だ。
 寝耳に水の状態ですべての財産を奪われ、住むところを追われる。
 こうした手法でみぐるみはがれた人々の間に、自殺が相次いだ。
 夜逃げ、一家離散に追い込まれ、精神を病む人も相次いだ。
 奥さんが焼身自殺するなど、耳をふさぎたくなるような悲劇は数限りもなくあった。
 
 橋下がバックにつくシティズは特に悪辣だった。
 シティズの取っていた利息は利息制限法をはるかに上回る違法なもので、そういった契約は本来無効なのだが、法律を駆使して作った精緻な契約書で顧客をがんじがらめにしてしまい、本人が「違法な利息ですがそのことを納得して支払います」と申し出た形式をしつらえて、一切の逃げを許さなかった。
 ほかの商工ローンやサラ金が違法利息であることを認めて過払い金を返すようになってからも、シティズはびた一文返さなかった。
 しつこくしつこく裁判を繰り返して抵抗し、顧客を追い詰めた。
 その法廷代理人が橋下だった。
 
 シティズの悪辣さを示す話がある。
 平成20年、大阪高裁はシティズの違法性を認める判決を下した。
 シティズはこれを不服であるとして最高裁に上告した。
 翌年、最高裁は口頭弁論を開かずに判決日を指定した。
 口頭弁論を開かないということは、シティズの負けが濃厚になったということだ。
 するとシティズはなんと、自分が上告したにもかかわらず、判決を下されて負けが確定するのを避けるために、上告を取り下げやがったのだ。
 判決は「お蔵入り」にされてしまった。
 周到な判決書を準備していただろう最高裁も、この態度にはプッツンしただろう。
 上告を取り下げて自ら負けを認めたシティズだったが、この客にだけ過払い金を返還したものの、それ以外の客からは相変わらず違法利息を取り続けた。
 「だって最高裁で負けが確定してないも~ん」というわけだ。
 まったくもって世の中も最高裁もなめ切ったやりくちだ。
 いまに至るも橋下の手口は変らない。
 口だけは達者だが、誠実さのかけらもなく、血も涙もない。
 法的に出来ることでも人としてやってはならないという信義則が彼には通じない。
 平気で裏をかいてぺろりと舌を出す。まさに法律やくざだ。
 シティズのような商工ローンのせいで、一体どれほどの人が自ら命を絶ち、人生を狂わせただろう。親の運命が急転した結果として、どれほどの子どもが不幸に突き落とされただろう。
 本当に悔しい。
 橋下は他人の人生のことなど眼中にない。
 どれほど他人が傷つき苦しもうとも、自分のキャリアのために、違法を合法だと言いくるめつづけた。
 そしてそんな自分の法律的手腕を誇っていたのだ。
 彼がシティズの顧問弁護士を辞めたのは、いよいよ最高裁でどうにもならなくなる直前だった。
 追い詰められたら、最高裁敗訴弁護士という「汚名」から自分だけ逃れるために、訴状から名前を消して、さっさと泥船から降りたのだ。
 こんな不誠実でウソつきで卑怯極まりない人物が政治家を務めていられるなんて、何かの間違いだろうと思いたい。
 自民党だってろくなもんではないのかもしれないが、橋下よりは百倍もましだと思う。

2015年11月20日金曜日

特別秘書に税金2087万円

  「大阪維新や橋下は大嫌いやけど自民党の議員だった候補者もなあ」と棄権の方向を向いている人も少なくないと報じられている。
 しかし、今回の大阪W選挙は5月の住民投票同様、一票でも多い方が勝つ、ということは一票でも少ないと敗れてしまう。
 報じられている観測記事どおりだとすれば棄権は維新政治を信任してしまう。
 11月4日に「橋下維新政治の異質性」で書いたが、七人の侍の台詞のように「髭の心配は首が残ってから議論しよう」と思っている。
   今日は、参考になるので以下に阪口徳雄弁護士のブログ記事を転載する。

 橋下大阪市長の下で休職、退職を繰り返す奥下特別秘書に2087万円支給
 橋下大阪市長は自分の後援会に多額の寄付をしてくれた後援会幹部の息子を2012年2月に特別秘書に採用した。その秘書がどのような仕事をしているのか情報公開請求をしたが、勤務ぶりを示す文書は一切存在しなかったことなどは以前にブログに書いた。

  橋下大阪市長は、特別秘書を何の為に採用し、何の為に雇用を継続しているのか(政治とカネ249)http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/64104835.html

 この間に奥下秘書は次の通り休職したり退職したりしている。
 ①2012年11月16日~同年12月16日まで休職(衆議院選挙の為か)
 ②2013年6月21日~同年7月21日まで休職(参議院選挙の為か)
 ③2013年9月1日~同年9月30日まで休職(堺市長選の為か)
 ④2014年2月15日退職(退職金1,058,585円受領)3月24日再採用(出直し選挙か)
 ⑤2014年11月21日~同年12月14日まで休職(衆議院選の為か)
 ⑥2015年3月19日~同年5月17日まで休職(都構想選挙の為か)

 離職期間合計 計213日間   
 【平成24年2月1日~平成27年10月末 1369日】離職率・約15.5%

 これほどの休職、退職する「不良公務員」はいないだろう。
 それでも夏冬のボーナスを支給している。

 今回住民訴訟をしている谷真介弁護士が大阪市に奥下特別秘書に支給した金額の明細について情報公開請求をした。

 総額20,877,188円に達していることが判明した。

  給与1372万8050円
 地域手当137万2795円
 ボーナス471万7758円
 退職金105万8585円


 橋下市長の「身を切る改革」などが自らの足元では全く行わず「口からでまかせ政策」であることがこの奥下特別秘書への給与、ボーナス、退職金の支給する実態が証明している。

2015年11月19日木曜日

ネット選挙


 民主主義と相いれない「べからず選挙法」のため多くの制約があるが、ブログ、フェースブック、ツイッター等では選挙活動が自由にできる。(メールは除く)
 この画像も印刷して配付はできないが、ネット上ではコピーして拡散できるので活用してほしい。
 大阪以外の方々も廻り廻って力になるので皆さんのSNSに載せてほしい。
 日頃、共産党を支持されている方々の中にも「自民党の候補者はなあ」という気分があると新聞では報じられている。清水ただしさんのフェースブックを読むとこうあった。
 「自民党には入れたくない」と言っていた方も、「ならば維新が勝っていいのですか?」と問うと、さすがに「維新の方がまし」などと言う人は皆無…。
 「自分は棄権や白票を投じるが、自分以外の人の票で維新を落としてくれ」と来られた方に「あなたが栗原・柳本両氏に入れなければ維新が勝ってしまうのだ」と率直に訴えると、「わかった入れる。周りにも広げる」と変わって下さったという話が生まれていると。

 この時点での合言葉は「髭の心配は首の後で議論しよう」だと私は思う。
 七人の侍の台詞は「首が飛ぶっつうのに髭の心配してどうするだ」。

2015年11月18日水曜日

ええかげんにしなさい

 一昔前の漫才の締めの言葉は「ええかげんにしなさい」だった。
 で、2012年~2015年の新聞記事等で報告された「大阪維新関係の不祥事」と考えられるもののリストである。ああ。(藤井聡氏の記事から転載)








【日時】    【関係者】   【所属】   【行政区】    【不祥事名】
20151025   小林 由佳    堺市議    堺市北区   政務活動費不正請求
【詳細】堺市議会の小林由佳(よしか)議員(37)が政務活動費として計上した議会報告のチラシが、作成・配布されなかった問題にからみ、平成23~26年度のチラシを含む政活費約1千万円の返還を求めていた住民監査請求を、市監査委員が全面的に認め、小林議員に同額の返還を請求するよう竹山修身市長に勧告。その後1000万円返還。

20151025   黒瀬 大     堺市議    堺市西区    政務活動費不正請求
【詳細】小林由佳議員の不正に直接関与。主導。維新の党除名

20151014   小畑治彦  森脇啓司  大坪和哉   東大阪市議    東大阪市   被選挙権虚偽
【詳細】先月行われた東大阪市議会議員選挙で当選した“大阪維新の会”の3人の議員が市内に住んでいないなどとして、市民が当選無効を求め選挙管理委員会に異議を申し立てました。

2015103      馬場 伸幸   衆議院議員   堺市    豪遊
【詳細】大阪組で前国対委員長の馬場伸幸衆院議員の金遣いの荒さが大問題になっているのだ。なんと毎月300万円もの党のカネを使って、連日連夜、飲めや歌えやのドンチャン騒ぎをしていたという

2015915      中野 隆司    柏原市長   柏原市    女性スキャンダル
【詳細】 大阪維新の会顧問でもある大阪府柏原市の中野隆司市長(58)が複数の女性と密会していたことが分かり、市議会は問責決議案を全会一致で可決した。維新は女性スキャンダルが多く、ネット上では、またかとの声が上がっている。

2015728       伊藤 良夏    大阪市議   住吉区    政務活動費不適切支出
【詳細】大阪市議の伊藤良夏(よしか)氏(35)=大阪維新の会、住吉区選出=が、トヨタ自動車の高級車「レクサス」の購入費用の一部計80万8450円を政務活動費で支払い、不適切な支出だったとして全額を返還していたことが27日、分かった。

2015710       森 忠久   寝屋川市議  寝屋川市  公職選挙法違反(住所要件)
【詳細】4月の市議選で初当選した大阪維新の会の森忠久市議(32)に市内での居住実態がなかったとして、公選法に基づき当選を無効とする決定をした。

2015522        足立 康史     衆議院議員    比例近畿    残業代未払い、パワハラ
【詳細】維新の党の足立康史衆院議員(49)=比例近畿=の地元事務所の事務員だった大阪府内の40代の女性が22日、足立議員に未払いの残業代やパワハラへの慰謝料など計約2300万円の支払いを求める訴訟を大阪地裁に起こした。

201559     木下 誠    大阪市議    生野区   政務活動費不適切支出
【詳細】大阪維新の会の木下誠・大阪市議(46)=生野区=が平成24年度の政務調査費のうち約200万円について、領収書の提出がないなど支出に不備があるとして、維新市議団から返還を求められていることが30日、複数の維新関係者への取材で分かった。木下氏は5月1日に返還する意向を示しているとされるが、市議団は支出内容などを詳しく調査する方針。

2015315       上西小百合       衆議院議員   吹田・摂津    衆議院本会議欠席の翌日旅行
【詳細】2015313日に体調不良を理由に衆議院本会議を欠席するも、翌1415日に知人男性と旅行に出かけていたことを週刊誌に報じられる。後に除名

20141220      上西小百合      衆議院議員    吹田・摂津    公職選挙法違反(運動員買収)
【詳細】16日投開票の衆院選で大阪7区から立候補し、比例で復活当選した日本維新の会公認の上西小百合氏(29)陣営の運動員に報酬として現金を渡したとして、大阪府警捜査2課などは20日、公選法違反(現金買収)容疑で上西氏陣営の会社員、佐藤徳二容疑者(41)=さいたま市北区=を逮捕した。容疑を認めているという。

2014101         中原 誠    元府教育長   大阪府    パワハラ
【詳細】1410月、府教育委員に対し「誰のおかげで委員でいられるのか」とパワハラ発言。153月辞職。

2014930          北野 礼一     堺市議    堺市中区   政務活動費不正支出
【詳細】堺市議会の北野礼一市議(68)=大阪維新の会堺市議団=が政務活動費を不適切に支出していた問題で、北野市議は9日、新たに領収書106枚、約92万円分の不適切な支出があったと明らかにした。 駐車場代や高速代などの領収書が含まれるという。北野議員の平成23~25年度の政活費の領収書計862枚のうち452枚(173万4070円分)が不適切だったことになる。北野市議はこの日の議会運営委員会で、市議会の信用を失墜させたとして、3年間に交付された政活費計1050万円全額を返還する意向を示し、維新の堺市議団団長も辞任した。

201481       山本 景   元大阪府議   交野市    LINE事件
【詳細】市教委によると、昨年10月の地元の祭りで、山本府議が生徒に名刺を配布。約20人の生徒とLINEのグループでつながるようになり、府議が「お茶会」に誘ったが、全員行かなかった。その後、LINEのグループから外されると、「おいおい、全員無視?」「身元を特定している」「校長に直接電話することもできる」などと威圧するようなメッセージを次々に送り付けた。翌11月に女子生徒から相談があり、学校が把握した。

2014714           橋下 和昌     府議会議員    四條畷市     政務活動費不適切支出
【詳細】維新の橋本和昌府議(四条畷市)がタクシー代約24万円を返還。政活費として計上した会合のうち、少なくとも17件が架空だった。最多の17回勉強会を開いたとされる業界団体は、「勉強会を開いた事実はない」と明言。』(毎日新聞)

201472       奥野 康俊      府議会議員   池田市    政務活動費不適切支出
【詳細】 大阪維新の会の奥野康俊大阪府議(48)=池田市選出=が、平成23年度から3年間、閉鎖されているホームページ(HP)の運営費用として、親族の男性に対し計約262万円を政務活動費から支払っていたことが2日、分かった。費用は相場より高額で、不自然な支出に疑問の声が上がりそうだ。相場の4倍…親族に支払い収支報告書によると、奥野氏は23年5月~26年3月、「広聴広報費」名目で、兵庫県尼崎市の業者に対して、政務活動費から毎月7万5千円を支出。総額は262万5千円だった。HP作成業者の広告などによると、HPの運営費用の相場は月額2万円程度。

2014423            T34才)     元事務職員                        
【詳細】市議団の政務活動費から735万円を自身の口座に振り込み、業務上横領容疑で書類送検。その後不起訴

2014413            鈴木 憲    府議会議員    富田林市   政務活動費不適切支出
【詳細】大阪府議会事務局は8日、橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」の鈴木憲府議(45)=富田林市・南河内郡選出=が平成24年度に使用した政務調査費約604万円のうち、後援会の加入呼びかけに使った事務所街宣車のガソリン代など約67万円を府に返還したと発表した。7日付で同年度の政務調査費収支報告書を訂正した。

2013913            森 伸人    元東成区長    東成区    セクハラ
【詳細】女性職員に「今から昼下がりの情事に(行く)」と大声で発言するなどのセクハラ行為で、143月、更迭。

201371     浅田 均    府議会議員   城東区    政務活動費不正使用?寄付、買収?
【詳細】日本維新の会政調会長の浅田均大阪府議会議長=大阪市城東区選出=が平成24年度、自身が編集に携わった書籍「『図解』大阪維新 チーム橋下の戦略と作戦」(PHP研究所、千円)250冊を政務調査費(今年3月から政務活動費)で購入し講師を務めた維新外部の講演会で無料配布していたことが1日、分かった。7同書は地域政党・大阪維新の会の「公式本」で、公金が政治団体の広報活動に使われ、一部印税の形で維新に流れた疑いがある。浅田氏は「講演会は(自身の選挙区の)城東区では開かれていない」としているが、選挙区の有権者に同書が渡っていた場合、公職選挙法で禁じられる寄付や買収行為に当たる可能性を指摘する声もある。

2013318         和田 智成     元東住吉区長    東住吉区     暴言
【詳細】他の区長に「無能」と暴言を吐き、20134月に更迭。その後、虚偽の経歴や年金記録文書の改ざんが発覚し、同年4月、分限免職処分。

20121220       上西小百合   足立康史   その他4     衆議院議員    
                                               吹田・摂津9区(池田・茨木・箕面・他)        大量選挙違反事件
【詳細】2012年12月16日に投開票が行われたばかりの衆院選をめぐり、わずか1週間足らずで、日本維新の会では候補者4陣営の運動員が公選法違反(買収)などの容疑で6人も相次いで逮捕される超異常事態となっています。 維新では19日、京都1区で落選した候補者の運動員が逮捕され、つづいて大阪7区に出馬し比例ブロックで復活当選した上西小百合氏陣営の運動員も20日に大阪府警に逮捕されました。さらに愛媛県警は21日、愛媛4区に出馬し比例ブロックで復活当選した桜内文城氏陣営の運動員を逮捕しました。また、大阪府警も22日、大阪9区に出馬し初当選した日本維新の会の足立康史氏陣営の運動員3人を逮捕したのです。

2012111          井上 哲也    吹田市長   吹田市   公共事業不正受託
【詳細】2012年、吹田市が市庁舎の屋上に太陽光パネルを設置する事業を、井上の後援会役員が社長を務める企業に約2,250万円で発注、随意契約を結んでいた事実が発覚した[4]。井上は、随意契約を行った企業が自身の後援企業だったことについて「まったく気付かなかった。職員への指示も一切ない」と釈明し陳謝したが、橋下徹大阪維新の会代表により、同党顧問を解任された

20121025         荻田 ゆかり    元大阪府議   生野区    政務調査費不正支出
【詳細】橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会の荻田ゆかり大阪府議は24日、記者会見し、自身の子どもを事務所スタッフが送迎するなど政治活動と無関係の行為があったなどとして、2011年度の政務調査費約413万円のうち約372万円を府に返還したと発表した。

201254       飯田 哲史    大阪市議    城東区    政務活動費不適切支出
【詳細】地域政党「大阪維新の会」(代表・橋下徹大阪市長)の飯田哲史大阪市議(28)が、政務調査費で支払った事務所賃料の3割近くを、自らの後援会への政治献金として事務所オーナー側から受け取っていたことがわかった。双方の合意で賃料は高めに設定され、政調費で支払われた上乗せ分が献金として還流していた。

201212        西井 勝     堺市議会議員   堺市中区   飲酒・ひき逃げ事件
【詳細】大阪府警黒山署は2日、自動車運転過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、堺市中区福田の堺市議会議員、西井勝容疑者(69)を逮捕した。逮捕容疑は1日午後3時40分ごろ、大阪府大阪狭山市山本東の市道交差点でライトバンを運転中、ミニバイクの堺市北区、調理師の女性(31)と出合い頭に衝突、そのまま逃走した疑い。逃げた理由は「酒を飲んでいた」と話している。


※ 2012年~2015年の新聞記事等で報告された「不祥事」と考えられるものをリストしています。訂正・追加があれば、随時、右記アドレスまでご一報ください(sec-tbatrans.kuciv.kyoto-u.ac.jp)。

2015年11月17日火曜日

月もいろいろ

  16日は確か月齢では4日だったから、アバウトなら『三日月だ』といっても許されるだろう。
 夕刻、まるでクリスマスツリーのように三日月が光っていた。
 月齢というと日本人は(と言い切っていいのかどうか?)、満月の日にお月見をして、確かかぐや姫も満月の夜に月に帰って行くのを自然に納得するから(私だけかも知れないが)、イスラム圏の国旗などに三日月(文言としては新月)(正確には25~6日ではないかと思う図が多いが)がデザインされているのが不思議な気がしていた。
 不確かな記憶だが、砂漠を行く隊商にとって昼間は地獄の時間であり、夜間に移動するため星座が明瞭な新月が尊ばれたと何かの本で読んだような気がする。

  太陽と満月が好きな農耕民族もおれば、新月を尊ぶ砂漠の民もいるということだろう。
 つまり、文化は土地や民族ごとに多様であり、自分の所属する民族の感性というか価値判断で解ったようなことを言ってはならないのではないかと思う。
 2日ほど前の記事に自分でコメントをしたが、「あらゆるテロは許されない」というあまりに正しい主張のために、フェースブックのアイコンの顔写真等をトリコロールで装飾することが広がっている。
 しかし、大規模なテロ事件と犠牲者の発生はレバノンでもトルコでも起こっている。そしてそのときに、テロを許さず犠牲者に連帯するためにレバノンやトルコの国旗等のシンボルでそれに応えようという運動があったようには私は思わない。
 ショックドクトリンという言葉があるが、身近(と思われる)に大規模な犠牲者が発生したとき、往々にして人は全体主義的な呼びかけに応えようとする。
 9.11で私たちはそれを学んだはずなんだが。
 こういうと誤解を受けそうだが、素直な善意も少し怖い気がする。
 「善意」は、報復の空爆を容認していないだろうか。

2015年11月16日月曜日

老人ホームで

  老人ホームの秋の行事で私は、「家族会が入居者を楽しませてあげようという行事ではない」「家族も入居者も一緒に楽しむ行事にしたい」と挨拶を行った。
 その心は、過去に、もっぱら出演者が楽しんでいる出し物や、反対に入居者に媚びるような幼児扱いするような行事を知っていたからで、家族が純粋に楽しめる行事こそが入居者の心にも響くと信じるからだった。
 みんなで歌おう会は、行事としてはシンプルな企画かも知れないが、想像以上のパワーがあり、行事の途中から認知症の方々の表情も変わっていくのには此方が驚いた。
 それでも、症状の非常に重い方々では参加されていない方もいた。このあたりはホームのスタッフの判断だが、私としてはそんな方々の反応も見てみたかった。それほどに歌の力はすごいものがある。
 それにしても選曲は難しい。いま80代後半から100歳ぐらいの方々に・・・このブログの読者の皆さんならどんな曲を選ばれるでしょう。
 90名近い参加者で溢れた会場は老人ホームであることを忘れさせ、家族に元気をくれるものだった。それでいい。

2015年11月15日日曜日

熱狂を恐れる

  パリで許しがたいテロ事件が発生した。
 コンサートに行っていたら舞台上から銃を乱射されたというケースを自分の周囲の風景として想像してみると、一つ間違えば自分が死んでいたかもしれない、そんな時代になったのだと考えると恐ろしい。
 だから、こんなテロ事件は絶対に許容してはならない。
 と同時に、こういう時こそ熱狂を避けて冷静に思慮すべきだと私は思う。
 テロに一部の理があるなどというのではない。
 しかし、ISへの空爆などという軍事行動がテロを拡大し、テロリストをパリへ呼び込んだ事実を冷静に分析しなければならない。冷静に検討することはテロに屈することではない。
 
 戦争法を成立させた安倍内閣は、集団的自衛権の名の下に中東の戦争の『兵站』を担うことになる。
 その地では『誤爆』ということで一般市民が多数殺されている。
 数字だけでいえばパリでの死者数を上回る人々が死んでいっている。
 その死者の数がテロリストの数に置き換わっていっていないだろうか。

 安倍内閣が、パリのニュースの熱狂に乗じて軍事力を増強するの図は戦前の『空気』を再現する。
 冷静な議論が憚られ、『空気』にあわない意見は「非国民だ」とされ、身近に犠牲者が出たならば「彼の無念」のために残虐がエスカレートした・・・それが、戦前ではなかっただろうか。
 戦時体制というものは、そういう風に成立していくものだと思う。
 こういうときに、私は熱狂を恐れる。冷静な議論を求める。なぜ中東の政情不安はあるのか。テロリストが生まれてきたのか。
 兵器と軍事技術で平和を実現するというのは根本的に間違っていないか。
 そんなことをいうと「平和ボケだ」「理想論だ」「甘ちゃんだ」という声が聞こえてきそうだが、仏ドヴィルパン元首相を始めとする多数の仏政治家も指摘してきたことだ。
 憲法9条こそが未来を照らす!ってみんなで語りませんか。

2015年11月14日土曜日

オリーブに乾杯(Cincin)

  オリーブの実をはじめて食べたのはいつ頃のことだろう。
 洋酒喫茶でカクテルなるものを飲んだとき、カクテルグラスに付いていたのが初めてのことだったように思う。紅顔の青年であったころ。
 別に美味しいとも思わなかったが大人の味をひとつ知ったような気がした。そんな歳頃だった。
 少し気恥ずかしい遠い想い出である。

  あれからウン十年、遠い昔を思いながら庭に稔ったオリーブの実を初めて本格的に塩漬けにした。
 収穫したのは少し早かったが庭の剪定に併せてお彼岸頃。
 ネットで学んだレシピに沿って実をひとつずつ叩き割って、毎日毎日水を替えてアク(渋)抜きを行った(作業したのは妻であるが)。
 せっかくの自家製だから、薬品(苛性ソーダ)は一切使用していない。
  そして3週間近くしてほとんどアクが出なくなってから塩水に漬け込んだ。
 で、そろそろよいかと食べてみたが文句のない上々の仕上がりになっていた。行ったことはないがシチリア島の風を感じた。
 ただ、その味を形容しろと言われても、やはり「大人の味やね」と妻と二人で頷きあった。
 パスタやサラダにもいいかもしれないが、秋の夜長、ワインその他の洋酒にあうことは間違いない。乾杯には「チンチンCincin」と発声したりして・・・。
 「発泡酒ではオリーブが泣く」と妻に懇願している。

2015年11月13日金曜日

大阪W選挙

  11月22日投票日で大阪知事選挙と大阪市長選挙が闘われている。
 知事候補は自民党の府会議員であった栗原貴子さん、市長候補は自民党の市会議員であった柳本顕さんが奮闘中で、共産党も自主的に応援している。
 この反橋下維新のネットワークの広がりが橋下維新には脅威らしく、近頃の彼らの演説の八割方は反共演説になっているらしい。
 そして、自民党と共産党が支援する首長になれば混乱するというような宣伝を行っている。
 
 しかし、橋下維新にそんな心配をしていただく必要はない。
 事実、2年前に自民党も共産党もそれぞれが応援して橋下維新候補を破った堺市竹山市政では、国保料が毎年下げられ、高齢者支援のお出かけ応援バス制度が拡充された。
 一方、黒字会計であるにもかかわらず国保料を値上げし、コミュニティーバスを廃止した橋下大阪市政とは見事な対照を為している。

 橋下維新政治をストップさせれば、このような明るい展望は必ず開かれる。
 二重庁舎の無駄をまったく解消できない橋下維新に「無駄を省く」とは聞いてあきれる。
 自分の後援会の家族を市役所の特別顧問にして、勤務実績もないのに多額の給与を支払う橋下維新に「どの身を切るのか」と尋ねたい。
 私はこのW選挙で勝利するなら、それは安倍政権への痛烈な打撃になると確信している。
 そこが面白いところだろう。万物は流転する。

2015年11月12日木曜日

西国九番

南円堂下から三条通
  退職者会で、行事を企画するのに行き詰ったときに必ず出る意見は、西国三十三箇所観音霊場札所巡りである。
 学校の同窓会などでも必ず「廻り終えました」とか「何箇所目です」という話が出る。
 私は小学生のときに父を亡くしたものだから三十三箇所を巡る御詠歌にもついて行くことができる。

宝珠の水煙
  ことほど左様に三十三箇所札所巡りは関西ではメジャーな信仰(行事?)である。
 その西国九番札所が興福寺の南円堂。
 所要のため近くを通ったので写真を撮った。

 ① 猿沢の池方向に下った三条通の紅葉が美しい。しかし多くの外国人は花より団子で中谷堂(お餅や)前に集まっていた。

中金堂北側の遺跡発掘
  ② 宝珠の形の水煙を正面から西に向いて撮ったら、中世と現代のコントラストが・・。

 ③ 中金堂の再建(さいこん)に併せて発掘調査中だった。興福寺さんが東大寺さんに向かって言う殺し文句は「うちは創建当初のとおり再建してます」。ちなみに、大仏殿は鎌倉で建て替えられ、江戸で建て替えられている。

 御詠歌 〽 春の日は南円堂にかがやきて 三笠の山に晴るるうす雲

2015年11月11日水曜日

憲法28条

 2014年10月29日の記事でこんなことを書いた。『日本では子供に「他人(ひと)に迷惑をかけないよう」にと指導するが、インドでは「他人(ひと)は迷惑をかけあって暮らすものだから他人(ひと)の迷惑を許しなさい」と諭すらしい』と。
 そのことから連想するのが、世の中には利害の対立する層が現実に存在するし、その場合単純な単線的理屈では解決できないということで、言いたいことはパブリックな部門の労働三権や労働法のことである。

 そもそも労働法そのものだって、『契約自由』の大原則でことが済むなら不要な制度であるが、使用者に対して劣位にある労働者が平等な力で公正な契約を結ぶためには、労働者の団結権、団体交渉権(協約締結権)、団体行動権(争議権)が前提になるというのが憲法28条である(憲法ですよ、憲法)。
 そしてパブリックの際たる国家公務員の争議権についての最高裁判例も、「国家公務員も憲法にいう勤労者にほかならない以上労働三権を無条件で制限していると解するなら国家公務員法は憲法違反」だが、「代償措置たる人事院勧告制度が機能しているので合憲と解釈する」というものだった(機能しているかどうかの論争は此処では置く)。

 だから、公務員は全体の奉仕者で、その労働条件には予算の制約を受けるが、別の面では憲法にいう勤労者にほかならないから、国や地方自治体の使用者は誠実に団体交渉に対応する義務があるのである。その場合、予算の民主的執行という課題と労使協議の結果との乖離が生じたならば、それは不断の努力(協議)で解決すべきなのである。
 そういう複線的な思考ができずに、自治体の主人公は住民であるから公務員は選挙で選ばれた使用者の奴隷で良いという主張は労働法や憲法の趣旨をまったく理解できていない幼児的主張といわざるを得ない(結構マスコミもそういう報道を行う)。
 早い話が、現実社会はそういう複線的な利害や制度で成り立っているのであるから、それを調整できない人物は管理者能力がないということである。

 ヨーロッパやアメリカでは警察官だってストライキをすることが珍しくない。もちろん「保安要員」は用意されている。そして、国民は、目先のことでいえば迷惑を被ることがあっても、「彼らも主張する権利がある」と許容するのである。
 それが成熟した民主社会である。
 このことを一番判っていないのが橋下維新であるから、現に弁護士資格があるにもかかわらず彼が訴えられた労働事件は橋下氏の連戦連敗となっている。

 W選挙の話の中で、「庁舎内から組合事務所を放りだすのは当然だ」というような意見があったので、それを機会に労働法の精神のイロハを振り返ってみた。
 労組法の「便宜供与」だって、使用者の買収・介入を禁ずるところに主眼があるのであって、判例でも企業施設内の事務所の供与は当然認められている。
 もし、公共性や予算を理由に労働三権が単純に制限されるのだとしたら、ほとんどの財団法人や、予算や税制の優遇措置を受けているほとんどの企業の労働者は労働三権が奪われることになる。「国や自治体の援助を受けている企業の労働者が労働三権を主張するのは我儘だ」と。
 こういう話をもっともっと語る必要があるように思っている。

2015年11月10日火曜日

霊感商法に似た男

 霊感商法というものがある。
 人の何らかの気弱になった心配事などにつけこんで、検証・再現不能な「論理」で「原因」を言い当て、その「克服」のためにと高額の商品を買わせる詐欺商法である。
 しかし私は思う。ほんとうに霊感で見通せる超能力があるのなら、フクシマ原発の事故の現状を透視して超能力で事故を収拾してもらいたい。

 かつて私は遠くの空に異様に光るものを見た。
 「どういう現象だろうか」「明日の新聞には私も見た!という記事が載るだろう」と思ったが、翌日の新聞やテレビでは全く触れられていなかった。
 この謎は今でも私には解っていないが、いつかは解るときが来るだろう。
 それまでは不思議のままにしておいて、解ったような顔をしてUFOを見た!などと断定しないでおこうと思っている。

 大阪府と大阪市があるから二重行政だという人がいる。
 しかし、東京を除く46道府県には県庁所在地に核になる市が存在する。
 問題は政令指定都市だ!とおっしゃっても、政令指定都市だって札幌市から熊本市まで20市もある。
 それらの都市が二重行政のために行き詰まり行政が衰退しているという事実を私は知らない。

 冷静に考えれば解ることだが、詐欺事件は跡を絶たない。
 と思わせるところが詐欺師の詐欺師たる所以である。
 そして少なくないケースでは、サイババではないけれど、マスコミがその「奇跡」をまことしやかに宣伝した結果である。

2015年11月9日月曜日

凜ちゃんのお宮参り

神主さんは鈴で脅かすのだが
   凜ちゃんは全く泣かなかった
孫の凜ちゃんは少しばかり長い目に病院にいたので、11月8日に、一寸ゆっくり目のお宮参りに大和の国は菅原の地の菅原天満宮へ行き、額に大の字を書いてもらって産土神(うぶすながみ)(産土神であるかどうかは後述)に誕生を報告してきた。

【あやつこについて】

お宮参りの際に、凜ちゃんの額に朱でという字を書いてもらったが、それを【あやつこ】(地方によっては【やちこ】)という。
文字(漢字)学の泰斗である白川静先生の説くところ、産という字は文と厂(かん)と生を組み合わせた形で、厂は額の形、文は文身(入れ墨)で一時的に朱や墨で描いた入れ墨、生は草の生え出る象形。
よって生まれた子の額に文身を加える儀礼を産といい、この儀礼によって、生まれた子の霊がまもられるのである(常用字解)と説いている。
この儀礼を通じて初めて神さまの戸籍に人間の子供として登録される・・とも。
白川学説では悪霊の侵入を防ぐために✕(バツ)と入れるのが最も古式に近いと思われるが(✕と入れる地方や犬と入れる地方もある)、私の知る限り大阪周辺ではお宮参りの際に子の額に朱で男子には大、女子には小と書く。大小というのは道教的陰陽思想で差別的意味はないと思っている。
これを非科学的な古代の旧弊と笑うのは容易いが、害の無い習慣は廃止するに及ばない(告朔の餼羊)と考えていいと信じている。
こうして、甲骨文字(漢字)の生まれた遥か殷代(紀元前1300年頃)の観念と習俗が、およそ3500年後の黄河文明からすれば辺境たる日本列島の私たちに伝わっていることの奇跡的不思議を噛みしめるのも楽しい。
そうではなく、単なる魔除けの迷信、祈祷、前例の踏襲で終わったのではおもしろくない。

【菅原天満宮について】

民俗学者神崎宣武氏によると、明治政府は神社合祀令等により仏教や修験道だけでなく国家神道以前の素朴な神々も冷遇・弾圧し、その結果、一村(大字)一鎮守ということで、小字(こあざ)単位にあった産土神(うぶすながみ)(神社)が消えたという。
江戸時代には産土神の神主が氏子帳をもって戸籍を管理していたというほどだったのに強引に廃止されたようだ。
ちなみに、氏神(うじがみ)というのは、例えば藤原氏の春日大社のように氏の神だから本来は産土神やその土地の神ではないが、庶民は近所に残った八幡宮や各種氏神を産土神、土地の神に「してしまって」今日に至っている(という変遷を受け入れて産土神と擬制したい)。
さて、出雲を通じて渡来の神の性格が強くうかがえる天穂日命の子孫の野見宿禰を先祖とする(記紀、出雲国造神賀詞)のが土師氏で、渡来系の高等な技術をもって土師器や埴輪の製造、古墳の築造や大喪の諸事を担っていたが、薄葬令以後それらがいわば斜陽産業になると、平安初期の天応元年(781)に土師古人が大和国菅原邑に住んでいたことから菅原の姓を賜り「学問の家」に社業を転換した。それが菅原氏。
菅原古人の三代後に誕生したのが菅原道真で、誕生地も菅原邑ともいわれている。ただし、こういう話には諸説があるものだ。
天満宮というと北野天満宮、太宰府天満宮、大阪の天満の天神さんなどが有名だが、ここ大和菅原邑に建てられた菅原天満宮は、延喜式に載っている最古級の神社のひとつで日本最古の天満宮といわれている。
大和にはこのように赫赫たる由緒を持ちながらひっそりと佇んでいる寺社が多いのも好ましい。

父母や祖父母が子や孫の先行きに幸多かれと願うのは3500年前も今も同じだ。
私たちの父母も、祖父母も曽祖父母もその親もまたその親も同じ気持ちであっただろうし、同じようなしきたりに祈りを込め、そうして今の私たちがいる。
そんなことに思いを馳せてお宮を後にした。

   なお、よく「泣き相撲」の行事が季節のニュースとしてテレビで報道されたりするが、ここの神社でも鈴を振って驚かせて赤ちゃんが泣くようにするらしい。そして一般的には泣かない子には神主が鼻をつまんだりして泣かすのだが、凜ちゃんは全く泣かなかった。
  泣かないことをハンディとも思いたくないが一寸複雑で、といって乳児だっていろいろということへの配慮が足りないなどと神主さんを責める気などもなく・・。
  父母も祖父母ももう十分に泣いてきたからそれでいい・・ということにしようと私は思った。
  なので、神主さんに「泣かなくっても結構です」とお願いして、凜ちゃんが泣く代わりに「度胸のある子ですから」と言って皆で大笑いをして終っていただいた。

2015年11月8日日曜日

ついに日刊紙

  堺市長選挙で威力を発揮した日刊紙(チラシ)が大阪府規模で始まった。
 世論調査のひとつに、5月の都構想の住民投票の際に大いに影響のあったものはチラシと週刊誌というのがあったが、そうだとしたら、この日替わり(日刊)チラシは重要だ。
 ただ、期日前投票の立ち合いに行っている人の言うのには「期日前投票の出だしはすごい」らしい。
 だとしたら、投票日から逆算した日刊紙では少し遅いかも。
 9月8日の記事で、鶴見俊輔氏の言葉「執拗に、したたかに、忘れない、あきらめない」を紹介したが、噛みしめることが大切だ。
 偉そうなことは言えないが、そんな気がしている。

2015年11月7日土曜日

憲法発布の日

  11月3日文化の日は憲法公布日で私が小学生の頃は「憲法発布の日」という言い方が多かった。
 新憲法をいつから施行するかは議論があったようで、当時の吉田内閣では、5月1日のメーデーの日にするのは面白くない、5月5日の端午の節句は男女平等に反しないか、あるいは「武」の祭りの性格もありGHQがどう思うかなどと迷って5月3日にしたらしい。
 で、逆算して半年前の昭和21年11月3日に新憲法は公布された。

 ただこの日(11月3日)は明治天皇の誕生日で戦前の明治節という戦意高揚に大いに関わった祝日であったので、中華民国などは異議を唱えていたらしい。私の親などは天長節といっていた。
 そんなどうでもいいようなことを書いたのは、つい先日「文化の日を明治の日と変えよう」という運動のことが新聞に載っていたからで、立憲主義を踏みにじった安倍政権の次の目標のお先棒を担ぐ危険な動きに寒気を覚えたからである。軽視してはならないと思う。

 そんな問題意識もあり、その日、遠くない地であったスタンディング・アピールに参加した。
 戦争ノー、9条守れ!のアピールだが、大阪へ通勤している人が職場で話題にしてくれたらと、私は特別に「さよなら おおさか維新」も掲げさせてもらった。
 当初は交差点周辺の自動車に乗車している人向けのアピールのつもりであったが、嬉しい想定外のこととして、隣県の歩こう会の方々千数百名がやって来たので、用意していたフライヤーもすぐになくなったし、「おはようございます」「いい天気ですね」「ゴールはもうすぐ、頑張って」などの声に大いに反応してポテッカー等を読んでもらえた。

 難しい問題ではあるが、自分が通行人であった場合、押しつけがましいお説教口調のアピールや、自分たちだけで盛り上がっているようなアピールには馴染めないときがある。このことは単純には言えないことだが、パレード(デモ行進)でもよく似たことを感じるときもある。
 この感覚は、演歌の好きな人もおればロックの好きな人もいるように「これが正しい」というものではないと思うが、そういう選択肢の一つとして、大人の紳士淑女の対応に似たスタンディング・アピールはほんとうは見た目以上に効果的なのではないかとも思う。
 真っ青な秋空の下、はらはらカラカラと落ち葉が舞い、素晴らしいスタンディング日和だった。

2015年11月6日金曜日

取り越し苦労

  心配性の年寄りが下世話なリアルを心配する。
 5月の住民投票のとき、北区や中央区と合区されそうなあたりでは賛成票が多かった。
 哀しいけれど、新北区、新中央区になればおこぼれがありそうだと判断した人が多かったのだろうと私は想像する。
 そういう意味では、知事選挙で都構想を掲げる相手側の宣伝に、大阪市から吸い上げた予算の一部が衛星都市に滴るのではないかという幻想が大阪市外にないかと心配する。
 だから、彼らの予算方針が、カジノ、なにわ筋線、道頓堀プールというような馬鹿げたものだという宣伝も軽視してはならないと思う。

 檀(真弓)の実が秋空に映えてきた。
 したたかな弾力性のため弓の素材に使われてきた樹。
 彼の樹に倣って、したたかに栗原、柳本への投票を訴えたい。

 橋下維新の恐怖政治に終止符を! これ以上の課題があろうか。

 【追記】 真弓の樹のすぐ側にヤマガラとシジュウガラがやって来た。
 PENTAXの300ミリで家の中から撮影した。(さらにパソコンで拡大トレミング)
 


2015年11月5日木曜日

がんばれPENTAX

  意味もなくこだわりたいものがあるものだ。
 私の場合、一眼レフカメラはPENTAXである。
 一眼レフカメラのシェアは地球規模でキヤノンとニコンが制している。
 そんなことは図書館で調べなくても解っている。
 奈良公園を歩いている外国人の持っているカメラは、東西の別なくキヤノンかニコンであるから。・・・それはすごいものである。
 その中を私はPENTAXのストラップで、「PENTAXって知ってるかい」と言わんばかりに歩くのだが、あまりにマイナーなもので、なんか他人の目は「キヤノンやニコンが買えないかわいそうな人」と言っているように見えてしまう。ああ。

 写真の中の右奥のものは45年ほど前に買った一眼レフ(もちろんフィルムカメラ)で、当時はASAHI PENTAX、つまり会社は旭光学であった。
 それからHOYAになったときのカメラも買ったし、最近買った左のものはRICOHだが、PENTAXの名前だけは襲名してくれている。(この写真を撮ったカメラもさらに別のPENTAXであるのはいうまでもない)
 なお、右前のカメラは110フィルムの一眼レフカメラで、広角、標準、望遠レンズがある珍しい機種で今では「お宝」といわれている。
 
 私はキヤノンやニコンに怨みがあるわけでもないし、現にプリンターはキヤノンを、双眼鏡はニコンを使っており、さらにコンパクトカメラとしてはオリンパスやカシオも・・古くはヤシカも使ってきたが、ここまで来たらとことんPENTAXの成長を見守ってやろうと思っている。
 そんなに意味はない。ただこの歳になると意味もなくこだわりたいものがあるというだけのことである。
 なお、PENTAXはペンタプリズムを使用した一眼レフカメラを最初に作ったメーカーなどと威張ってみても、そのうちにスマートフォンに全部とってかわられるかも。ああ。
 PENTAXのシェアの落ちたのは「写真はフィルムじゃ」とこだわってデジタル化に出遅れたからである。教訓的だ。自戒しなければ。

2015年11月4日水曜日

橋下維新政治の異質性

  11月22日の大阪府知事・大阪市長W選挙投票日が近づいているが、共産党を支持している人々の中に「それにしても何で(元)自民党の候補者に投票するねん」という声があるようだ。無理もない。
 ただ、いま思い起こすべきは橋下維新政治の民主社会を破壊する「異質性」だと私は思う。
 そして、大阪では5月にあった都構想の住民投票で、オール大阪としてお互いに頑張った共産党と自民党の運動が掛け値なしに連帯した事実があることを直視することだと思う。

 橋下維新の民主社会と相いれない「異質」の事例は枚挙にいとまがないが、彼が市長就任直後に行った大阪市職員への思想調査をあげるだけで十分理解していただけるだろう。
 「これは任意の調査ではない市長の業務命令で、正確に回答しないと処分する」と書かれたその調査では、勤務時間内外を問わず街頭宣伝に誘われたり参加したことがあるか、他の職員から投票依頼を受けたことがあるか、誘ったり依頼したものは(職員以外の者を含め)誰か・・を言えというものだった。
 つまり公権力者が懲戒処分で威嚇して思想調査を行ったもので、各政党の政策の違いとは次元の異なる恐るべき違憲違法行為である。

 栗原知事、柳本市長候補が安倍総裁の支持を受けていることを生理的に受け付けないという意見もあるが、そういう状況を作ったのは大阪の反維新の運動の結果でもあり、そういう状況に一番困ったのは橋下維新である。ここが大阪のリアルな側面だろう。
 七人の侍では「首が飛ぶっつうのに髭の心配してどうするだ」という台詞があるが、恐怖政治をストップして皮一枚でも民主主義を残してから髭の心配をしたらよい。
 栗原、柳本当選後は大いに論戦、議論が始まることだろう。
 他府県の皆さんもそのあたりを理解して大きな支援をしていただきたい。

2015年11月3日火曜日

写真の投稿

  京都のローカル紙に投稿していたアサギマダラの写真が掲載された。
 我が家に配達される前に京都の先輩から「見たよ」とメールがあった。
 そのアサギマダラの季節も終わりフジバカマの花も第4コーナーを曲がった。
 昨日は久しぶりの冷たい雨になったが、そのせいでフジバカマの香りが庭中に広がった。
 それは一言で言うと桜餅の香りで、それを私は和菓子の中で一番好きなものだから満足満足。
 先日の探偵ナイトスクープでフジバカマの花から香水(惚れ薬)を作っていたが、私に対してなら効果があるだろう。
 フジバカマや桜餅の桜の葉の香りはクマリンという芳香化合物で抗菌作用もあるが肝毒性もある。
 この種のちょっと危険な香りに男も女も弱いものらしい。

2015年11月1日日曜日

獺祭

  先日友人たちと小料理屋に入って一寸有名な清酒「獺祭(だっさい)」をいただいた。
 そして、何故ニホンカワウソ(獺)は絶滅したのかという推論を闘わせた。
 「非常に実用的な毛皮であったため乱獲されたのだろう」という、きわめて常識的な議論で終わったが。

 で、その獺祭だが、そもそもは七十二候の雨水の初侯が現在は「土脈潤い起こる」だが元々は獺祭魚で「かわうそ うおをまつる」であった。
 清酒獺祭のいわれは知らないが、七十二候の獺祭魚が二月下旬にあたることから新酒に相応しいとなったか、獺が捕らえた魚を並べるところから宴席に相応しいとなったのだろう。(ネットで見ると酒蔵の所在地の地名「獺越」から一字を採ってと書かれていたので一寸がっかり)

 元に戻って獺祭だが、先に述べたとおり獺には捕った魚を岸に並べる習性があったらしく、それがお祭りの供え物のように見え、獺が先祖の祭をしているようだということで獺祭という言葉ができたらしい。
 そのことから、詩歌を捻りだすときに机の周りに参考の書物をいっぱい拡げることをいい、晩唐の詩人李商隠は獺祭魚と号し、正岡子規も獺祭書屋主人と号した。それ故、子規の忌日を獺祭忌という。
 そんな高尚な話に掛けて話すのはおこがましいが、私も少し正確で重要な文章を書くときには椅子とテーブルではなく座卓を使用する。そして所狭しと参考になる書物などをそのページを開けて部屋中に拡げまくる。そんなことからこの獺祭という言葉が昔から身近に感じられて好きであった。

 ただ、この記事は椅子とテーブルで書いている。調べ物はネットですぐに出てくる。こんな姿勢でいいのだろうかと反問しながらも安易に流れている。
 安易に知り得た知識は同じスピードで忘れるものだ。
 獺祭を号するほどの勇気はないが、獺祭は大切にして行きたいと思っている。
 獺祭は勉強の王道である。