2015年10月18日日曜日

米国の民主主義

サンダース氏
  マルクスとリンカーンが心のこもった書簡のやりとりをしていたことは有名な話(アメリカ合衆国大統領エーブラハム・リンカンへ〈マルクスエンゲルス全集16巻〉ほか)だが、そのことを思い出させるような米国の民主主義に感心したことがある。
 14日の夜に見るともなくテレビニュースを見ていると、大統領選挙に向けた米国民主党のテレビ討論会が報じられていて、ヒラリー・クリントン氏とバーニー・サンダース氏が映っていた。
 私が感心したのはサンダース氏の発言で、「米国の下位90%の人たちが持つものと同じ富を上位0.1%が独占しているのは不道徳で間違っている」「一握りの億万長者から政府をとり戻す」と、ウォール街と大銀行の行き過ぎを規制する決意を述べていたことで、米国民主党の候補者選びの段階とはいえ、こんなまともな意見が全米にテレビ放映されるという米国の民主主義に敬意を感じた。(なおクリントンも基本方向を否定せず「私の方が上手くやる」と対応した)
 先日我が国では、政権与党の総裁選で首相に対抗する候補者潰しが行われて無投票となり、引き続く内閣と党役員改選では立候補しようとした野田氏所属の派閥が干されたというニュースがあったばかりである。
 世界の憲兵面(づら)をした米国を不問に付すつもりはさらさらないが、彼の国ではTPP反対の声も小さくなく、フクシマ型のピルグリム原発の廃炉を決め、ニューヨークにまで来た安倍首相にオバマ大統領が会見すらしなかったことに、米国民主主義とジャーナリズムの片鱗を垣間見た気がする。
 サンダース氏は現代を「カジノ資本主義だ」と述べているが、片やこの国では規制緩和、官から民へ、小さい政府という大合唱に大手マスコミが同調し、結局先に述べたような米国や先進諸国の真の姿を伝えもせず、日本を代表するような東芝、三井不動産、旭化成等々の不正問題を構造的に解明しようともせず、武器輸出、原発輸出を称賛し、勤労者のセーフティーネットの破壊を看過している。大阪をカジノで豊かに・・など論外だろう。
 そう考えると、この国には、民主主義革命、市民革命が喫緊の課題となっていないだろうか。
  立憲主義をメーンテーマにした国民連合政府構想を本気で考える秋である。

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