2015年10月12日月曜日

消費者のモラル?

  書評を読んだだけでモノをいうのは「桐壺源氏」にも及ばないが、11日の赤旗の書評欄に横田増生著「仁義なき宅配」(小学館)というのがあり、書評の最後に、『アマゾンの「送料無料」サービスがもたらすゆがみ、「翌日配達」と運賃切り下げによる宅配業界の制度的な疲労を指摘する。著者は、宅配事業が「労働者や下請け業者の犠牲の上に成り立っている」ことを、消費者自身や社会的インフラのあり方の問題として問題提起している』と評者、長久啓太氏は評している。
 そのすぐ下に、上野誠著の書評もあり、私はウッと詰まった。
 実は1か月ほど前、上野誠著「さりげなく思いやりが伝わる大和言葉」という本を買おうと近所の比較的大型の書店2店に行ったがそれぞれ検索までしてもらったが置いていなかった。
 それなら、著者が勤めている奈良大学の書店に行けば絶対にあるに違いないと思い直し夏休み明けを待った。
 そこなら、基本的に1割引だし、もしかしたらサイン本があるかもしれないと楽しみにして行ってみたらなんとここにもなかった。やはり、テレビの「久米書店」の影響力だろうか。
 で、不本意ながらネット大手アマゾンでクリックしたら翌日には送料無料で到着したという経験があったのを思い出した。
 一消費者としては、街の本屋さんも守りたいし「宅配業者や労働者がこれでいけるのだろうか」と心配もするのだが、この『結果』は『便利』である。
 私を含め消費者が利便を求める欲求に歯止めがなく、それを受注する競争に歯止めがなかったら、しわ寄せが労働者や下請け業者にいくのは明らかだ。
 かつて、タクシー運賃や台数が規制されていなかった時代に「神風タクシー」が深刻な社会問題になったように、この国にはお互いに穏やかに暮らそうというルールと寛容性が大事だろう。
 消費者のモラルということが語られてもよいように思う。反省を込めて。

3 件のコメント:

  1. とかく便利さを求める風潮は困ったものだと言いつつ、ついアマゾンに発注してしまいますが。
    どなたの言葉か知りませんが「中国でいくら安いジーパンを作れるにしても日本で800円なんておかしいんですよ。今の時代、何かというと価格勝負に持っていってしまう。価格競争というのは、つまり消耗戦で何も生み出さない。一見消費者は喜んでいるように見えるけれども、適正な物は適正な価格で買うべきなんです」という言葉です。もって肝に銘ずべし。

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  2.  小泉内閣以降、競争は善、規制は悪というようなイデオロギーが振りまかれていますが、このイデオロギーこそが中流の崩壊、格差社会、未来への閉塞感を作りだしていることを声を大にして指摘しなければならないように感じています。
     憲法が理念する健康で文化的な生活を保障するためには、弱肉強食の市場原理の規制が絶対に必要です。

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