2015年6月7日日曜日

何? 別の本

  書店に行くと『沈みゆく大国アメリカ〈逃げ切れ!日本の医療〉』という本が平積みにされていた。
 私は『沈みゆく大国アメリカ』がいつまでもよく売れているのだなと眺めていた。
 確かに私の読んでいたその内容は、「アメリカから医師が消える」「リーマンショックからオバマケアへ」「次のターゲットは日本」というような内容だったし、「集中治療室と一般病棟を行き来していた父が『国民皆保険制度がある日本に生まれて本当に良かった』と何度も繰り返した」とあったものだった。
 ところがツイッターを読んでいると、「沈みゆく大国アメリカの続編はまだですか」というのに堤未果氏が「5月20日に発行しました」と答えているではないか。レレレ、もしかして?
 書店に行って確かめると、それは2015年5月20日第1刷発行となっていて、つまり続編、別の本だった。
 こういう変わった書名を嫌いでない私だが、これには参った。

 さて、その『沈みゆく大国アメリカ〈逃げ切れ!日本の医療〉』だが、目次の大見出しだけを拾うとこうである。
 序 章 「臨終」の格差
 第1章 オバマもびっくり!こんなにアメリカ化していた日本医療
 第2章 (株)アメリカに学ぶ、大衆のだまし方
 第3章 マネーゲームから逃げ出すアメリカ人
 第4章 逃げ切れ!日本
 私には一連の氏のアメリカレポート同様どの章も参考になったが、先ず出だしの「介護」では、「公的介護保険のないアメリカでは、65歳を過ぎた高齢者が、医療費や介護サービスも含めて必要な資金は、インフレを考慮すると150万ドル(1億5000万円)と言われていること、現に老人ホームでは人手不足のため‟放置”されたまま変死に至る事件が頻発していることがショックだった。
 次いで氏は、日本人は世界中が嫉妬する日本の国民皆保険や高額療養費制度の素晴らしさを知らないと述べているくだりも納得させられた。
 また、当事者(国民等)を排除した経済財政諮問会議以降の各種諮問会議で戦後民主主義や福祉が壊されアメリカの強欲資本主義に提供されていっている日本の現代史の分析もそのとおりだと感心した。
 そして、混合診療、医療特区が「国民皆保険」を破壊するであろう指摘も事実の積み上げで説得力があった。
 
 私はほんの少し前、TPP推進論者がテレビの中で「米韓FTAを結んだ韓国を見習え!日本経済は韓国に突き放される」と叫んでいたことを思い出す。
 その韓国がアメリカの「金融植民地」となって各種制度が急速に疲弊していっていることもこの本では詳しい。
 そして、アメリカ資本主義の狙いの本命が日本であることは自明だと考える。
 「新聞を裏から表までしっかり読んでいるから世の中のことは解っている」という方もおられるが、私はやはり「本を読まないと頭の整理が不十分だ」と思っている。
 この本は日本国民必読の書だと信じている。

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