2015年5月3日日曜日

三重行政にする不思議

  「角は一流デパート赤木屋、黒木屋、白木屋さんで、紅おしろいつけたおねえちゃんから、ください頂戴で頂きますと、五千が六千、七千が八千、一万円はする品物だよ。今日はそれだけくださいとは言わない!え~い、もってけ泥棒、千円でどうだ!」との啖呵売も威勢よく、当初は「年間4000億円もの財源が浮いてくる」「これが都構想のすべてと言っても過言ではない」(14年3月)と言っていた橋下市長だが、市議会に報告された試算ではそれが年間1億円になり、挙句は特別区の設置等のために年間平均13億円の赤字が出る危険性が指摘され、14年7月には「僕の価値観は、財政効果に置いていない」とおっしゃる。
 しかも、特別区では手に負えない、堺市の全予算規模にも匹敵する6400億円程度の事業運営を『一部事務組合』という名のプチ大阪市を作って運営するというのだから、大阪府、一部事務組合(プチ大阪市)、特別区という三重行政を作るというのがこの構想。啖呵売の口上に酔っている場合ではない。(そもそも現状の何が二重行政かというと何も無駄に二重にしていることはほとんどない)
 日本で一番大きな政令指定都市・大阪市を分割するという非常識から出発したものだから、ほんとうは収拾のつかない三重行政になる。東京は相当以前から都区政であったので、こんな多くの一部事務組合はなく、ゴミの処理工場等文字どおり一部に限られている。
 もちろん、一部事務組合は運営のために長や議員が公選されることもないから、地方自治が身近になることもない。
 身近といえば、市民が普通に行う手続きは市役所でなく現に24ある区役所で行うもの。それが5つに集約された特別区役所に行かなければならないとなると不便になるだけだろう。それを避けるために支所とかの名前で旧区役所を置くなら四重行政?になる。冷静に考えればわかる話。
 結局、実際にはカネはかかるは、地方自治から遠ざかるはというのが都構想の真実。
 それに、こんな無茶な大変革をすれば、行政組織が疲弊して、福祉や住民サービスが跳んでしまうことだろう。
 ここ数年に就職された方には申し訳ないが、マクロで見れば、教員や府職員、市職員の就職の人気で大阪府・市の人気が落ち、優秀な人材が他府県に流れたというのはメディアも当然のように指摘している。
 はっきり言えば、大阪市長も知事も経営者として失格、管理能力稚拙としか言いようがない。
 結局そのしわ寄せは、サービス斬り捨て、負担の増額となって市民に跳ね返る。
 寅さんの映画で啖呵売のイメージもよくなったが、本来、啖呵売は少々胡散臭いものと言ったら言い過ぎだろうか。
 啖呵売は置いておいて、少なくとも橋下維新の口上は胡散臭い。
 それでも、そういう胡散臭い口上が流布しているのは在阪テレビ局をはじめとするマスコミのせいであることは間違いない。
 それでも壺を買おうとする霊感商法にはどんな薬があるだろう。
 おかしいと思った人が「おかしい」と自分の言葉で繰り返し語るしかないように思う。

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