2015年5月1日金曜日

大阪市廃止の非常識

  大阪市民を対象に5月17日に実施される住民投票は、政令指定都市・大阪市を廃止して5つの特別区に再編するというものだが、マスコミが正しく報道しないものだから、大阪都ができるかのような錯覚がある。条例案には「都」という言葉は一言も書かれていないのに。
 テレビでは「いっぺんやってみたらええやん」とコメンテーターや芸人が言っているが、「ダメだった」と判っても特別区を政令指定都市に戻す法律はこの国にはないから、「ようわからん」まま賛成するのは危険極まりない。
 そもそも地方自治体は、できる限り自由にできる予算と権限を持ちたいから、村よりも町、町よりも一般市、一般市よりも中核市、中核市よりも政令指定都市になろうと努力している。
 だから、政令指定都市の市長は知事と対等に渡り合ったりして、そのことを通じて市民はサービスと福祉を手厚く受けている。神戸市、京都市、横浜市しかり。
 だから東京の23区は、共同でとりまとめた【特別区協議会『「都の区」の制度廃止と「基礎自治体連合」の構想』で、特別区制度の廃止を明確に主張している。
 だから橋下市長のいう「政令指定都市・大阪市廃止案」は少しでも地方自治を知るものにとっては論外ともいえる非常識なことである。
 大阪的に算盤勘定でいえば、大阪市(市民)は、年間2200億円分の財源と権限を失い、町村長以下の権限しかない特別区長は知事にお願いして予算をいただくことになる。
 橋下氏は、「大阪市が担っていたサービスは低下させない」というが、そんな制度的担保は協定書のどこにもないし、橋下氏の「口約」が‟でまかせ”であった例は枚挙にいとまがない。
 私のように堺市に愛着のある者でも、大阪市が大阪府の核であることは間違いないと思っている。
 政令指定都市・大阪市の消滅は大阪府や関西圏にとっても決定的なダメージになるだろう。
 関西経済の閉塞感から、何かガラガラポンとやってみたい気分で住民投票に賛成するのは大阪市民と関西圏の自殺行為に等しいと私は考えている。
 橋下氏は知事時代にこう言った。「大阪市が持っている権限、力、お金をむしり取る」(2011.6.30読売新聞)と。

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