2014年7月21日月曜日

ふじたけんじの生活マンガ

河北新報ONLINE NEWSから転載しました
  共稼ぎ(共働きともいう)の親にとって子供たちは戦友のような気がする。
 振り返ってみれば危機一髪のようなヒヤリハットも数知れず、子どもたちには寂しい思いもさせた。
 私の場合はその多くの矛盾を妻に担ってもらったが、看護婦(今風には看護師)のオヤジであったふじたけんじさんは真正面からそれと格闘した。
 妻は看護婦、自身は地方勤務の国家公務員で社会のセーフティーネットを支えていた。誤解を恐れず言えば二人のそれは聖職だったし、日々深刻な「お客さん」と対応していた。(話せば長くなるが、私は医療労働者だとか人権に関わる公務労働者は『聖職でもある労働者』だと思っている。)
 そして、それぞれの雇用主は職員のそういう聖職意識というか責任感にかこつけて使用者責任を十分には果たしてこなかった。
 その構図は21世紀の今日もあまり改善されておらず、否、さらに酷くなっている。
 悲しいけれど、ディーセントワーク、人間らしい労働を!という課題はますます切実さを増している。
 という、ほんとうは重要で根の奥深いテーマをふじたけんじさんは、マンガ(5月20日発行「ふじたけんじの生活マンガ」)にしてしまったのだから恐れ入る。それも、全く声高でないところが反対に胸を打つ。
 ユーモアとともに「子どもらの寝息たしかめ久々の妻と二人の浴槽まぶし」のマンガのようなエロチシズム?も素晴らしい。
 「共働き親子奮戦記」を読まれた方は「あっ、読んだことある」という作品も多いが、先に書いたように労働環境がますます非人間的になっている今日、このマンガを再読して社会や家庭や人生の原点のようなものを再確認するのは悪くない。
 全ての共稼ぎやシングルマザー必見の書籍である。
 いや、今日の社会問題、労働問題に多少なりとも関心のある方は手に取ってもらいたい。
 ・・・・・というか、そのような話は全てが蛇足で、この本は全編が楽しくて胸の奥が熱くなる。
 日々の暮らしに疲労感を感じられている皆さんに栄養剤代わりに読んでもらいたい。
 効果は保証する。

 ふじたけんじの生活マンガ
 A5版200ページ 税込1620円
 発行所 青森文芸出版
 〒037-0004 青森県五所川原市唐笠柳藤巻467
 電話 0173-35-5323 FAX 0173-35-8414
 アドレス info@a-bungei.co.jp

1 件のコメント:

  1.  『看護婦のオヤジがんばる』が懐かしいです。

    返信削除